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寿司屋の上座・下座


お酒の席には上座・下座がある。上下関係の強いコミュニティに属していたら、大学生くらいで身に付けるものだろうか。

 

基本的に立場が上の人は入り口や通路から奥の席に座る。奥の席は上座となり、ただじっとしているだけで酒や食事が運ばれてくる。

一方通路に近い席には立場が下のものが座り、注文なんかを任される。こちらは下座となり、人や料理が飛び交うことになる。下座はなかなか忙しく落ち着けない。

 

一般的に、奥の上座には偉い人が座ってゆっくり酒を飲み、下っ端は手前の下座でせわしなく働く、というようなマナーである。

 

ここで、「寿司屋の上座はいったいどこになるのか」ということを考えていきたい。

さきほどの一般的な上座・下座の法則を当てはめると、寿司屋に限らず奥の席が上座となる。しかし、寿司屋の奥の席は流れる皿を取ったり、シリコンでガチガチに固定されたタッチパネルで注文をしなくてはならない。

会話が盛り上がっているところに、楽しげなアラームが鳴り、注文していたさび抜きサーモンとかがやってくるのをいちいち取ったりしなければならず、そのたびに興ざめしてしまうことは想像に難くない。こんな調子では取引先は拗ねてしまうだろう。

じゃあ手前側の席に座らせておけばいいかと言うとそうでもなく、手前側は手前側で忙しい。お吸い物やラーメンなどは直接運ばれるからあまり落ち着かず、注文の声も通りにくいので頼んでいたハンバーグ寿司がいつまで経っても運ばれてこないということになりかねない。加えて、手前の席ではビッくらポンができない。

これでは上司は機嫌を損ねてしまうし、翌日から激詰めが始まるのは誰の目にも明らかだ。

 

なので、今一度寿司屋における上座・下座を改めて考えていかなければならないと思う。

 

基本的な上座・下座のルールを踏襲するなら、手間を取らせず、かつ座組の中心になる位置に偉い人を配置しなければならない。寿司屋において、レーン側と通路側は何かと忙しい席になっているというのは上記のとおりだ。この4席を上座から除外すると、自ずと以下のような配置になる。

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この真ん中の席を上座にするという配置は一見問題ないように見える。しかし、またもや寿司屋ならではの問題が浮上する。レーンに対して背面に座っていると流れていく寿司が見にくいのである。「あっ、今行っちゃったフライドポテト食べたかったな」というように、取れなかった寿司だけを延々と見せられる”後悔の列”なのである。となると、寿司屋の上座というのはレーンに相対する側の列になる。

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こうしてどちらか一方向を上座に設定することで偉い人から下っ端へ移動するエネルギーの流れも一方向になる。

 

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ここで注意しなければならないのはここが寿司屋だということである。

もし、一つのテーブルだけでこのような上座・下座のエネルギー移動が発生しているなら何も問題はない。しかし、仮にテーブル全席で上座・下座エネルギー移動が行われている場合には以下の図のような異なるベクトルができあがる。

 

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このようにレーンの回転エネルギーと上座・下座のエネルギー移動が真反対の向きで長時間ぶつかることにより、レーン内の島には反物質が発生し、それに伴う様々な怪現象が多数報告されている。重ねていた皿が飛んでしまい会計ができなくなる、お湯が直角に注がれて火傷をする、板前が消失する、など。

 

これを受け、多くの寿司屋ではレーン内の島をなくし、直線移動を長く取ったレーンを複数導入することで対策をとってきた。最近では寿司屋の反物質など聞いたこともないと言う人も多いだろう。

 

このように寿司屋での上座・下座はなかなか難しい。そこで、知り合いの大将に実際に寿司屋ではどのように上座・下座を決めると良いかという質問を投げかけた。そのときの彼の言葉でこの記事を締めくくりたい。

 

”「グチャグチャ余計なこと考えてねえでメシは黙って味わえ」”