男の下着に関して、あまり他人を参考にする機会は訪れない。
デカデカと「ディーゼル」とか「カルバンクライン」とか書いてあれば遠目でもわかるけど、多くの下着はそこまで大きなロゴやアイコンで存在を主張しないし、そもそも人がズボンを脱いでいるところをじっくり目にすることも少ない。
試着をするわけにもいかないので、生地感や触り心地、フィット感を確認することもできない。下着を新調する時はどうしてもギャンブルになりがちだ。
加えて、座る時に尻にかかる体重は靴に次いで大きいため、気づかないうちにかなりダメージを受けていたりする。
特に気になるのは各ゴムの伸びである。
ダルダルになってしまった下着をいつ捨てればいいのかは人類の永遠の問いとしてこれからも議論されていくし、一日を終えた後に生地がベロベロに伸びてたりするのは気まずいものがある。
今日もどこかでコンビニで買った下着がダルダルになってしまって後悔している人がいることだろう。急場しのぎだと分かっていても、納得出来ないものである。
ここでは買ってよかった下着をいくつか書いていく。
ロバート・P・ミラー
最近新調したものだ。
ロバートPミラー自体はアメリカのニッティングブランドだが、現在は日本の下着・靴下卸のアマノが企画生産販売をしている。ノースフェイスをゴールドウィンが生産しているようなもんなのかな。
アメリカ製を売りにしているタンクトップや靴下を十分に備えている一方で、アンダーウェアは全然売られていない。加えて、ロバートPミラーはアメリカ製を売りにしているのに、このボクサーパンツは中国製ときている。
しかしこれが、十分な強度があって全然伸びたりしない。
サイズ感はタイトだが適度に薄く、蒸し暑い日でも快適だ。
1パック2個セットで売られてるのも、プロダクト感があっていい。
FRANK DANDY
結構派手なプリントが印象的なフランクダンディ。
買った当時、ショップの店員は「例えば火事になって救助された時、服を破かれて応急処置をされているときでもカッコがつくように…フランクダンディはそういうコンセプトなんです」と説明してくれた。ホンマかいな。そんな文言は本国版ウェブサイトにも一切書かれていない。
しかし、ポップでありながら尖っているプリントを見ると、何故か納得できてしまうのが不思議なところ。
This is Frank Dandy - Frank Dandy
フランクダンディ自体はそもそも下着ブランドとしてスタートし、今では水着なんかも売っている。
デザインソースも、デザイナーが旅でインスピレーションを受けたものとか、暴力反対とか、メッセージがあるのが面白い。Tシャツとかでやるならわかるけどパンツでそれやりますか。みたいな。
「俺はこういう人間なんです!」とシャツとかで押し付けがましく宣伝して回るのではなく、ここぞという時、ここぞという相手、下着を見せる短い瞬間にだけ己のセンスをさり気なく伝えるって、なかなかシャレが効いてると思うんだけどね。
H&M
ファストファッションの下着ってひどいと1月ぐらいでゴムも生地も緩んできて残念な感じになっていく。コンビニ下着もそう。その中でもH&Mの下着は結構肉厚な生地を使っているので、何回か買い替えて長いこと使っている。丈夫で長持ち。
俺は大きめのトランクスのような風通しがいいものはちょっと苦手で、それはナニがファンブルしてしまうのが気になるからだ。やさしくホールドしてくれるくらいがちょうどいい。
その点で、H&Mのボクサーは生地もゴムも強靭なので生地が伸びてしまってフィット感が変わったりしにくい。1年くらいハードに使い倒せる。
下着なんか恥ずかしくなければなんでもいいというなら、入手のしやすさやコスパで考えるとH&Mがかなり優秀だと思う。
コットン95%、ポリウレタン5%
登山用の下着というものがあって、何日間も穿くことを前提として作られていて消臭効果とか殺菌効果とかがあったりするんだけど、特徴的なのはその殆どがポリエステル100%だということだ。
ポリエステルは水を吸いにくく乾きやすい、というのがその理由なんだけど、このポリエステルでできた下着は、穿いていてけっこう違和感がある。コットンのような優しい肌触りではなく、プラスチックを穿いているような、ざらつきやツッパリ感がある。
しかし綿100%の下着は伸びてベロベロになりやすい。
負荷がかかった時に、生地の組織が崩れてしまい、特に尻付近にたるみが出やすい。
これはジーンズが伸びていくのとよく似ているが、ジーンズの場合は生地の目が細かく、厚みもあるために問題にはならない。しかし伸縮性がある下着の場合は伸びたら見た目も悪いしなにより穿いていて不快だ。
なのでほとんどの下着はコットン95%、ポリウレタン5%でできているし、逆に俺にとってはここにしか選択肢がない。
いや、わからない。「まいにちふれるものだから、手ざわりのいいものを」みたいな感じで綿100%の下着を買いまくり捨てまくる人もきっといる。そういう消費スタイルはアリだと思う。
しかしそんなところに金をかけていられないというところもあるし、なによりテキトーに選んでテキトーに扱っていても、ストレスフリーでいい感じという のが俺の求める「快適」だ。
そうなるとやっぱり今使って気分がいい下着以外に、余計な挑戦をしてみる気もなく、結局思考停止してしまうのである。