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FATMAN BROTHERS/FATMAN BROTHERS


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世の中にはプレミアCDというものが存在し、発売当時の価格の数倍、数十倍で取引される。

それは限定版とか、マニアが保管している未開封のものとか、売れっ子アーティストの下積み時代のものとかだけではなく、単に入手しにくいというだけでもプレミアが付く。

なぜ入手しにくくなるのか。

曲がいいからである。

 

FATMAN BROTHERS 

伊集院光、石塚英彦、田口浩正のトリオプロジェクト。

ウィキペディアではラップグループとなっている。

FATMAN BROTHERS - Wikipedia

CDはプレミア価格がついており、中古で5000円、新品だと2万円オーバーになる。

 

音源自体はソウルフルでクールなラップ。

ライミングがほぼ無いかわりに、芸人出身ならではのベシャリのフローが際立つ。

といっても1995年当時は3人とも芸人やってるわけだけど。

セリフや背景音があったり、コンセプトアルバムの色合いが強い。 

 

このプロジェクト自体がビデオ映画”百貫探偵”から派生したものでもあり、現在3者はそれぞれ別のキャリアを積んでいる点からも、このFATMAN BROTHERSも百貫探偵も黒歴史とまではいかなくても、わざわざ触れられることもない扱いだ。

もちろん音楽配信系サービスやダウンロード販売もされていない。

しかしながら探すとすぐにフルで聞けたりするので、興味があるならぜひ。

 

お笑いと音楽

日本語ラップの先駆者であるいとうせいこうは

「日本語で無理に韻を踏まなくてもいい」

ということを言っていた...記憶がある。

なんだったかな。確かタマフルで言ってたんだよな。

 

日本語ラップってフリースタイルダンジョンとか高校生ラップ選手権みたいなバトルがシーンの中心で、ラップで良しとされることが定義されていくのもこのへんって感じ。

ラップで良しとされることって、早口でスパスパ文言が出てくるとか、高度にライミングできてるとか...かな。

「ラップがキテるよ!」みたいなテレビ番組でも、必ず韻を踏んでることと魚釣りの曲とVネックの曲が紹介されてたのは、”頭脳バトルの面白さ”か、”意外性のおもしろ”がフィーチャーされていたことの裏付けでもある。

 

そもそも洋楽のスタイルを日本に持ち込むために”笑い”がセットだったという話からも、実はお笑い芸人はジャンル音楽との親和性は高いのかもしれない。

ジャンルを間借りしてパロディに落とし込んでも、芸人の身体性とプロデュースの足腰がしっかりしていればそれは”聴ける”音楽になる。

というのは『すべてのJ-POPはパクリである』で読んで、改めて実感した。

 

 

しかし芸人と音楽の親和性に目をつけ、売れる方程式を見つけた人が乱造乱発を繰り返し、本人を神輿に担いだだけのプロジェクトが増加した。

2005年くらいまでは、番組の企画とか、ネタの延長とか、なにかっていうとすぐシングル出してたし。

結果、今ではお笑い芸人が曲を出すのはダサいという風潮に行き着いているんだろう。

音楽と関係ないところで身につけた身体性をしっかりしたプロデュースの元で発揮した曲を、また聞いてみたい。

 

プレミアCDの謎

このFATMAN BROTHERSも、映画を含めてゴタゴタが多く、順調だったとは言えなかったようだ。

そして伊集院、石塚、田口3人の現在の活動とも関連性が薄く、活動しているフィールドも3人でぜんぜん違うため、このことについて触れられる機会もない。

ちょっと前の「伊集院光とらじおと」のゲストが田口氏の回で、「昔はこんなこともあったね」というトーンでFATMAN BROTHERSについて話していたのをたまたま聞かなかったら、俺も聞き直すこともなかっただろう。

  

このFATMAN BROTHERSは、球数が少ない、露出が少ない、狂信的なファンがいる(ラジオリスナー)と、プレミアとなる条件は充分に満たしている。

 

例えば、同じ時期に発売されたKOJI1200/アメリカ大好き!は、tofubeatsが紹介したためか多くの人に知られ、流動性が上がり、現在の中古価格は2000円もしない。しかし、新品価格はほぼ1万円となっている。

tofubeatsつながりで言えば、中澤真由/STEP INTO MY HEARTも、一時は5000円とかしたけど今では2500円とかなり値下がりしている。

 

 

 一方で本人が完全に黒歴史認定し、キャリアから抹消しようとすると、価格は信じられないほどに暴騰する。

浜崎あゆみのデビューシングルがそうだね。

 

 

www.youtube.com

 

表に出てみんなが欲しがれば値段は下がり、存在自体なかったことにされてしまえば値段はどんどん上がっていく。

プレミア価格は謎だ。