orslow IVY FIT 107 ...13.5oz (12months unknown washes)
リジッドのものを購入し、約一年穿いていた。
ゆるい生地感と絶妙なシルエットによって、どんな状況でも自然で肩肘張らない雰囲気を演出してくれる。
毎日毎日パーティに行くみたいに着飾っていたり、商談に行くみたいに気を配っていたり、クラブに行くみたいにトレンドを意識していたら、疲れてしまうことは目に見えている。
強烈な印象は与えない。けど、小奇麗な雰囲気だけはかすかに匂わせる。
「余裕のあるデニム」というのが、1年ほど穿いていた感想だ。
orslowについて
originalityのある服を吟味しもの創りする。
めまぐるしい速さで流れていくファッションの世界で、ゆっくりと進みながら自分らしさを見つめ直していく。19〜20世紀に誕生した衣類、特にワーク・ミリタリーから派生する衣類は、作業着に限らずファッションとして多くの人たちに愛され、今現代もなおベーシックウェアとして支持され続けています。
そういった永遠の定番服を私たちのフィルターを通してslowにデザインしていく。手から生み出されるぬくもりを大切に、細部に至るまでこだわったクオリティーの高いもの造りを目指しています。
オアスロウについて | orSlow official Site
古くから愛されるベーシックなアイテムが、ツウな生地・裁縫で現代風にアレンジされている...といった感じ。
そのルーツはクラフトマンシップにあり、生地のセレクトや裁断縫製において昔から醸成されている質の良さがある。
orslowのデザイナーである中津氏はデニムマニアであることは言うまでもなく、それに加えてヴィンテージミシンのコレクターでもあるという。
実際に切って縫って着てみて、総合的にどうなのか、というところにまで配慮が届いている…だから高品質なのに値段を抑えて、かつ量産できているのではないか、と思う。
107概要
orslowのFacebookの洗濯指南どおり、10日を目安に洗濯していた。
生地は甘く撚られていて、厚さもそこまで無いため、バキバキのシックフェイドよりも自然でやさしい色落ちが適している。
パッカリングやセルビッジのアタリ、チェーンステッチのうねりのような、生地の伸縮が肝となる箇所も、色落ち・縮み共に理想的だ。
各所のディティール・色落ちに関して
シワ・アタリが一番できる腰回り。
よく擦れることもあって一番色落ちが進んでいる。
不均等に織られた生地による”自然な”色落ちはヴィンテージのリーバイス501を糸まで解体して分析されているという。
ナチュラルでやりすぎないザラザラした感触は、スタイルや場所と問わずうまく溶け込む。
コインポケット周り。ヴィンテージライクな褐色のリベットが目を引く。
バックポケットには濃紺糸で飾りステッチがされている。控えめで匿名性が高いが、しっかり「orslowのデニムを穿いているぞ」という気分にさせてくれる。
サイズ感
ディフォルトのサイズはXS〜Lの4種類と、かなり大雑把に区切られている。
それなのに、レングスも含めてどこでどのように切り取っても様になるシルエットなのだ。
ロールアップしても、オーバーサイズでも、サマになる。それがオアスロウの強みだ。
ちなみにこのオアスロウはS(1)サイズだが、ウエスト幅がおよそ28〜30インチの自分にはちょっと大きいくらいだ。
後に試着したXS(0)がジャストサイズだったけど、これはリジッドの状態だったことが大きいと思われる。
生地の織りが緩いため、しばらく穿いているとかなりウエストが広がってしまう。
乾燥機にも数回かけたがそこまで大きく縮まなかった。
サイズ選びは伸び縮みを考えてもジャストくらいで合わせたほうがいいのではないか。
リジッドorワンウォッシュ
107には、糊付けされたままの rigid (リジッド)と、一度洗いがかけられた wash (ワンウォッシュ)、色落ち加工がされた 2 year wash 、3つのラインナップがある。
実際店頭に並んでいるのを見ると、そのほとんどがワンウォッシュだ。
リジッドジーンズは、洗うと大きく縮む。しかもその収縮率もメーカーや生地、ラインによって異なる。
だから、初めてジーンズを買うというような場合ならワンウォッシュでピッタリのサイズのものを買うのがいい。
また、リジッドジーンズを洗わずに履き続けるというような楽しみ方もあるが、大きく縮むorslowのデニムはその遊びには向いていない。
セルビッジorレギュラー
どうやら2017年ごろからセルビッジではないデニムのものも販売され始めた。
これに伴い、セルビッジが¥21,000、レギュラーが¥18,000に別れているようだ。
どちらを買うべきかという話だと、ほとんどの人はレギュラーだと思う。
セルビッジを買うべきなのはセルビッジジーンズがほしいという場合だけだ。
色落ちや縮みなど、セルビッジの利点は多くあるけど、レギュラーだから粗悪というわけでもない。
当然レギュラーのほうが安いし、パーツやディティールが変わるわけでもない。
「orslowのゆるい感じが好き」
「シルエットの良いボトムスを探している」
という場合はレギュラーのほうがオススメだ。
「いい生地のジーンズがほしい」
「色落ちを楽しむ」
こちらはセルビッジがいい。
なぜスタンダードなのか
長く愛されているものには理由がある。
オアスロウ107の素朴な色落ちや緩いシルエットには、トレンドや場所を選ばずなんとなく手にしてしまう魅力がある。
適度なテーパードシルエットでゆとりもあり、穿き心地は非常にゆるい。
ゆっくり、長く、快適に愛用できるようになっているところが「定番」「スタンダード」などと称される所以だろう。
それが力の抜けた余裕となって、落ち着いた雰囲気を醸し出している。
気取らないスタイルとして、オアスロウは抜群に効果を発揮する。
[最終更新:2017/5月7日]