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服はセールで買わない

いつからか服をセールで買わなくなった。

以前は安い服しか買わなかった。「ユニクロは土日に割引する」「GAPは70%オフからが勝負」「アウトドアの看板商品は次の年に廉価版が出る」そういうことをよく知っていた。けどここ二年くらいでそういうセールを一切使わなくなってしまった

 

ところが、家計が苦しくなったわけでもなければ、服の数が少なくなってさもしい思いをしているかというとそうでもない。生活の水準や満足度は10年ほど変わっていない。 

 

定期的なセールで集客をしているショップがあり、あるいはそういうセールを待ち望んでいる人達がいる。これはわかる。かつて俺もそうだったから。バーゲンを狙って商品を安く買い叩くのは、それはそれで楽しい。お宝発掘みたいなところがあるし。でも、欲しいものを定価で買うのと、値引き額が大きいもの、割引率が高いものを血眼になって探すのとでは、それにかけるストレスと満足度が段違いだ。

 

セールなんて関係なく、定価で普通に服を買ったほうがメリットが大きいと思うのだ。

 

 

※この記事に向いていない人は以下のとおりです。服は温度調節にしか使っていないという人。着ている服でその人の評価なんか変わらないと思う人。のっぴきならない事情で服にお金をかけられない人。宗教的・俗習的理由で服を着ないという人。要は自分で服を選ぶことが楽しくないという人だ。どうぞ安い服を思う存分買っていただきたい。

上記の人たちが、俺が今から書いていくことに対して「何を言っているんだ?」と思うのは当然だ。そこまで着るものに価値を置いていないから。それはしょうがない。俺のことだって「パズドラに課金してないの?」とか「聖書読んだことないとかマジ?」とか思ってくれてかまわない。人とは分かり合えないものだ。

  

1.セール品は売れ残りだ

売れずに残っているということは人気がなかったということだ。人気があればいいわけではないけど、人気がないということは魅力がないということだ。買って得をすることも少ないだろう。

しかし、発売した瞬間に売り切れるような期待されている商品も少なくない。最近だとシュプリームコラボとか。これが自分にとって本当に価値があるものなのか見極める必要がある。でないと、転売屋のおもちゃを高値で掴んでしまうことになりかねない。

一方で、真面目な企業が真面目に物を売ろうとするなら、需要に対して供給のバランスをとるはずだ。ニンテンドーのゲーム機はきちんと子供にも行き渡るような追加生産をしている。これができていない...つまり顧客に向いていない企業があるのも事実だ。

そういう企業やブランドやメーカーに対してこちらが尻尾を振る筋合いはない。適正に消費を煽り、適正なクオリティのものを作り、適正な方法で売っているブランドこそ、信用に値すると思う。

 

2.セール品はセールにしても問題がない商品だ

安売りするということはそのモノの価値を安く見積もるということだ。商品を簡単に安売りするということは自分たちが作った・選んだ・売ったものの価値を自分で下げてしまう行為だ。

なのでセールにならない商品こそ、本当にブランドが大事にして長い時間をかけて売り出したい商品だと言える。セールをする必要のない定番品なんかがそれだ。客が商品を見る前から買った後までのことを考えて、そういう定番品を大事にしているブランドこそ、信用に値すると思う。

 

3.”本当にほしいもの”が濁る

高い身銭を切って買ったものは大事にする。コストをかけた分リターンを得たいからだ。安く買ったものを雑に扱ってしまうのも同じ理由だ。もちろん安いに越したことはない。元からコストを抑えて生産していたり、企業努力で売値を安くできたりするなら話は別だ。雑に扱えるから好き、という歩み寄り方もあると思う。ヘインズのパックTなんかは、そういうものだと思う。安く、簡単に手に入り、雑に扱える。

このように、「安い」というイージーでパワフルなワードは俺達の心に向かって放たれるストレートパンチだ。商品の良し悪し、本当に欲しいかどうか、今必要かどうか、そういう判断を全部吹っ飛ばす力がある。

 

しかし定価というものを一度掲げた以上、セールで安くしてなんとなく得した気になってしまうのは大きな間違いだ。

「安い」ということに、判断を濁らされてしまっては、本当に欲しいものなんか永遠に手に入らない。

 

4.ブランド・メーカー・ショップに対する敬意

頼んでもいないのにこんないい物を作ってくれてありがとう、頼んでいないのにこんないい物を紹介してくれてありがとう、頼んでもいないのにこれだけ俺の生活を豊かにしてくれてありがとう。そういうシンプルな気持ちだ。

安いTシャツ一枚だって膨大な人が関わってできている。その内訳は悪人ばっかりではないはずだ。行程の中にプロフェッショナルがいることを信じて俺は定価で服を買う。

 

 

とはいえ

しかしなんだかアパレルに対して不当に騙されているという被害者目線を持っている人は多いし、それはあながち間違いでもないと思う。

ちなみに俺は服の原価率がどれくらいだとか、アパレル業界の内情とかを考察したりするつもりはない。なぜなら知らないからだ。だからここまでは全て消費者目線で考えた。でも、アパレル側だってあぶく銭が手に入ればめっけもんだろう。悪意は必ず生まれる。

その悪意を毎回正面から受けていては体が持たない。手っ取り早いのはセールを使うことだ。毒を食らわば皿まで。こちらも悪意を利用する方法だ。

 

俺が今回提案したのは、そういう悪意のないところで気分良くいる方法だ。こちらは当然面倒だ。ブランドの流れや絡んでいる企業、商品のラインナップなんかを比較したり店員と仲良くなったりする必要がある。対象の情報をリサーチしなければ、定価が適正かわからないからだ。

ただ、これはこれで楽しかったりする。別に浅くたっていい。俺だってそんなに深くは調べていない。定番商品を押さえたり、値引きするタイミングを観察したり、主力商品のプロモーションの仕方を見ているだけでも、大まかな悪意からは逃げることができる。

 

今この時代でセールから逃げるということが完全にできなくてもしょうがない。

できるだけ客を大事にしているところを探して、こちらも大事にすることで、きっとそのうちお互いにとって気持ちのいい関係が築けるはずだ。