無塩せきガソリン

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さあ明日も行こう。ジョイマンを忘れてしまった街へ。

 

かつてテレビがメディアの大部分だった頃、一発屋芸人が一発当ててテレビから消えた後、何をしているのかということを視聴者が知る機会はほとんどなかった。テレビはブレイクした芸人のブレイクしたネタを針が飛んだレコードのように何回も放送し、そして唐突に終わらせた。それだけだった。

テレビの仕事が向いていなかったのかもしれない。一般受けするネタじゃなかったのかもしれない。ライブの方が好きだったのかもしれない。芸人をやめたかったのかもしれない。

しかし、視聴者にできるのは急にテレビから姿を消した芸人に対して「一発屋」とレッテルを貼り、時代を象徴するアイコンとして懐かしむくらいだった。

 

2017年現在、各種SNSや動画配信サービスは右肩上がりに普及し、大統領までもがメインで利用する情報発信スポットとなった。

表現活動をする人は少なからず何かで情報を発信するようになった。申し訳程度に告知するくらいの人もいれば、アンチとつかみ合いの喧嘩をする人もいる。 

そして00年台をテレビの前で育った人間はこうしたSNSで、あの頃に見た、あの頃に楽しませてもらった、あの頃友人達とバカみたいに笑いあった、一発屋の芸人たちと再開を果たすのだ。

 

www.j-cast.com

 

ちょっと前にコウメ太夫氏のツイッターリプ欄でメチャクチャに遊ぶキッズたちが話題になった。以前まで芸能人にリプライを送るという行為は「自意識過剰な目立ちたがり屋」くらいにしか思われていなかったけど、システムの妙を突いて好き放題できる事がわかってくると、真似するアカウントが急増し、独自の文化を形成していった。

 

だが、この現象のそもそもの発端はコウメ太夫氏がチクショーツイートを毎日欠かさなかったからだろう。

飽きられていようが、テレビに映らなかろうが、愚直に、楽しみにしてくれているであろう一握りのファンのために、しっかり声を届ける。そういった姿勢が結果として多くの人を惹きつけたのだ。

 

ジョイマン高木氏のポエム性

冒頭に貼ったのはジョイマン高木氏のツイート。俺はこれをなんて素晴らしい文章なんだと繰り返し読んでしまった。誰でもないジョイマン高木氏だからこそ生み出せる文章だ。

 

思えば一発屋の芸人に対して、俺達はやはり転落劇のようなものを期待しているところがあるのかもしれない。「昔はテレビでガッポリ稼いでたんですけど今は収入ないんですよ〜」とか言ってほしいのかもしれない。やっぱりラッキーパンチで大金を得るよりも毎日コツコツつまんない仕事をしている方が賢いな、とか思いたいのかもしれない。

だからこそ一発屋は自ら一発屋と名乗り、自虐でウケを狙っていく。客の期待に寄せていく。

 

日頃笑いを提供している芸人だが、儚さや物悲しさのようなストーリーと相性がいいのはそういうところかもしれない。『火花』や『べしゃり暮らし』などにもその仕掛けが活かされている。また、ブレイク中の芸人に対して下積み時代の苦労話をセットにし、感動ストーリーに仕立て上げる傾向も未だ強い。

それはやはり売れるための助走や説得力の補強において機能していた。成功の理由として苦労が前提として用意されていた。ところがジョイマン高木氏は売れた後の境遇について少なくともツイッター上では、物悲しいけど力強く、圧倒的なポジティブさで儚さを機能させているのだ

 

冒頭のツイート、ムーディ勝山氏がジョイマン高木氏にエビをあげたという話は、テレビ的に脚色するならば「芸人ええ話」の1エピソードだ。しかし、これを高木氏のフィルターを通すと、一瞬で過去と未来を想起させる、笑って泣けて胸に響くポエムになるのだ。一時期フェイスブックなんかで流行っていた、芸人の嘘感動話とはワケが違う。これはまさに表現であり文学であり高木氏によって綴られたということに最大の価値があるのだ。

 

ジョイマン高木氏のツイートはRT/FAVでおよそ1/4の偏りがあって、これっていわゆる晒しあげとかお笑い共有目的じゃなくて本当に心を打っているからじゃないのかなと思う。 

 

 

俺達はともすればジョイマンなんか忘れて日々に忙殺されてしまう。空いた隙間は次の一発屋が埋めてくれるだろう。悲しいけどそういうもんだ。

でも、かつてジョイマンを真似してケラケラ笑っていたあの頃は、きっと誰にだってあるものだし、二度と戻っては来ない。他では替えが効かないのだ。ジョイマンじゃなきゃ駄目なのだ。

まだまだ俺たちにはジョイマンが必要なんだ。

 

 

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ジョイマンの高木晋哉 (@joymanjoyman) | Twitter

ジョイマン池谷 和志 (@Iketanijoyman) | Twitter

 

 

あと個人的には往年のGANGSTAみたいにTHUGなTWEETにも期待しているのだった。