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A.P.C.デニムを海水で洗う...プチスタンダード洗濯の記録

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A.P.C.のジーンズには「デニムの洗い方」なる洗濯指南がついてくる。

この洗い方の中に「海水で洗う」という項目があるが、実際に行っている人は見たことがないし、ネット上でもレポートは数少ない。

多くの人は海洗いに興味を持ちつつも実際にその機会を得られずに、忸怩たる思いを抱えているらしい。それか、バカな真似はしない賢い人が多いかだ。

A.P.C. STORE

 

今回、夏が終わる前に滑り込みで海水洗いを行った。

A.P.C. Petit Standard、4ヶ月半リジッドでほぼ毎日穿き、時間換算だとおよそ1,350時間

プチスタンダードの洗濯に関しては半年は洗わないとか破れたらリペアしてファーストウォッシュとか様々なことが言われているけど、今回そこまで長時間穿いていないのに洗ってしまう理由としてはなんかリジッドの光沢感とかにも飽きちゃったからだ。

 

 

1.ジーンズを履いたまま海に入る.

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まずはジーンズを海水で濡らす。「履いたまま」というのは体形に沿ったアタリを強調させるためだろう。抵抗があるなら脱いだ状態でも問題ないと思う。おもしろさは半減するだろうけど。

ちなみに、洗う前はジーンズが水を吸って重くなったら溺れてしまうのではといらん心配をしていたけど、特にそういうこともなかった。ましてや砂浜でお利口に洗うのであれば危険性は極めて低い。

 

2.乾いた砂でこする.

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砂でこするのは摩耗を与え、汚れ・糊・インディゴを落とすためだ。

海外のデニムヘッドの様子などを見ているとジーンズを砂でほぼ埋めてしまっていたり、隅々までゴシゴシこすっていたりする。しっかり隅の方まで丁寧にこすればストーンウォッシュのように全体のトーンを明るくできるだろう。

俺は今のところ、洗濯を最小限に抑えてアタリだけバッチリ色落ちしたようなシックフェイドを目指している。だから砂はまぶして撫でるくらいにしておいた。

 

3.何度か繰り返す.

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今回は2回繰り返した。多くすればするほどしっかり糊が落ち、同じく色落ちもするだろう。全体のトーンを明るくしたい場合や青味を出したい場合は回数を増やすといい。

ただ、何回繰り返しても汚れを落とす効果はほぼない。「汚れたジーンズをキレイにしたい!」という場合は素直に普通の洗濯をするべきだ。

 

4.水ですすぎ

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すすぎは一回ですませるつもりで「洗剤使ってへんし適当でええやろ」と雑にザブザブやったら、これが糊だか塩だかわからないけどベトベトヌルヌルで、ジーンズに触るとそのヌメリが手にも着いてしまうような最悪の状態になった。

なので、二回目は多めに水を入れ、しっかり丁寧にすすいだ。ヌメリも問題ないくらいは落ちた。...ちょっと残っている感じだったけど見なかったことにした。

 

5.太陽にあてて乾かす.

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海水浴場の駐車場で3時間ほど干したが、完全には乾ききらなかった。一旦自宅に帰り、物干しで普通に一晩干した。

 

行程は以上だ。

 

 

 

 

 

海で洗う効能

自宅で洗濯すればいいジーンズを、なぜわざわざ海で洗うのか。もっともな質問だ。実際に洗ってみた感想を交えて考えていこう。

というか、結果から言うと、海水で洗濯するメリットはほぼない。しかし意味が無いとはわかりつつも抗いようのない強い引力が海水洗いにはある。それは一体何なのか。

 

塩はインディゴの定着を強める。海水のように塩分の濃い水にジーンズを通せば意図しない色落ちを防げるだろう。きっちり砂をすりこめば全体のトーンを満遍なく落とし、淡い色合いになるはずだ。逆にこすらなければアタリに沿った濃淡差を適度に維持できるだろう。

塩水で洗うのは色落ちをコントロールしやすくするためだと言える。

www.sfg.blue

 

温度

夏の海水の温度は条件にもよって当然変わってくるけどおよそ25〜30℃だ。糊落としに適した水温は40℃程度のぬるま湯なので、海水が糊落としに適しているとは言えない。30℃を超えるような、沖縄とか南国のビーチとかはジーンズの洗濯に向いていそうだ。洗濯のために飛行機に乗る覚悟があるならばの話だが。

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参考:気象庁 | 海面水温に関する診断表、データ 日別海面水温

 

※南国でトロピカル洗濯をしちゃう人ですが、いました。

rico0712.exblog.jp

「乾いた砂でこする」とあるが、これはアタリの凹凸による色落ちをより強調するためだと考えられる。汚れを落とす効果は残念ながらさほど見られなかった。糊を落とすのともあまり関係はないと思う。

汚れに関してはちょっとした油染みと血痕があるんだけどそれは全然落ちなかった。

砂をこすりつけることでサンドウォッシュ・ストーンウォッシュのような色落ちをするというような文言も見受けられるが、そのようなことは一切なかった。

仮にそのような加工っぽい色落ちにしたいと言うなら、気の遠くなるような時間をかけて砂を擦り付けなければならないだろう。ジーンズにかかるダメージ的にも、あまりオススメはできない。

海で?砂を?A.P.C推奨のデニムの洗い方がワイルドすぎる! – クイ~ズ

日光

インディゴは直射日光に反応し、退色する傾向がある。「裏向きで乾かせ」「風通しの良い日陰で乾かせ」というような洗濯方法が通説なのは、紫外線による退色を防ぐためだ。A.P.C.の洗濯指南はそれを逆手に取り、デニムの青色を際立たせる目的で、太陽に晒して乾かせと言うのだろう。

 

結論から言うと衣服が紫外線により変色するメカニズムは、日光に当たって色あせた家具や、日光に当たって色あせた本の表紙と同様のメカニズムと考えられます。

具体的には、使われている色を表現する染料分子が紫外線という強いエネルギーの影響を受けて分解されてしまい、変色という作用が起きてしまうことがあります。

注意!汗と紫外線による変色について | 東京都クリーニング生活衛生同業組合 Webサイト

「太陽光がデニムの色に与える影響について」 なんと1年経ちました。 : ジーンズサイトさめー ブログ|コダワリのジーンズ&モノ

 

...かといって、夏に限ってデニムの色落ちがきれいになるということは一切ないので注意が必要だ。きれいというのは個人的な感情であり、人によってどう受け取るかには大きな差がある。色褪せた感じが好きな人も、リジットの濃紺が好きな人もいる。さらに言えば、普通に着ている程度でデニムは退色なんかしない

実は夏こそデニムが綺麗に色落ちする季節。A.P.C.のデニムを育てよう! | キナリノ

 

インスタ映え

かなり答えに近くなってきた。けどこれも違う。青い海、白い砂浜というのはそれだけでインスタでサムアップが集まりそうだ。その中に忽然とジーンズを洗っている人が現れると、フラミンゴ浮き輪や貝殻浮き輪やトロピカルかき氷や水着のおねーちゃんどころの話ではない。目立ちはするけど悪目立ちだ

「あいつなにやってんの?」という奇異の目は決してインスタグラムには向かないと思う。いいねが欲しけりゃ素直に工夫された浮き輪を買うことをおすすめする。

 

あと、日本の海...特に海水浴場って基本汚い

下のリンクの一連の海水洗いレポートみたいに、ちょっと残念な感じになってしまうおそれがあるので、インスタ映えを重視するならロケーション選びがキモとなるだろう

denim aging diary #14 - ES CONTENTS ES CONTENTS

全然色落ちしてないけど服屋がデニムエイジングとか銘打っちゃって大丈夫?

ハレの洗濯

これ。結局これ。「海で洗った」という事実が重要なのだ。日々の洗濯なんか誰でもしてるし誰でもできる。洗濯機に入れてボタンを押せば待ってるだけで出来上がりだ。便利だけどそんなケの洗濯なんてつまらないのだ。手洗いをしてみたりとか、洗剤を吟味したりとか、ここに手間をかけて普段と違うことをするから面白くなる。「海」みたいな「洗濯」と全然関連がないところで洗濯するからハレになる。

ハレ・ケについてはハレ=お祭り、ケ=日常くらいで理解しておいてね。

 

デニムヘッドにとって洗濯はハレだ。各々のスパンで訪れる、外せない日なのだ。しかもファーストウォッシュ...つまり糊落としは一本に一回しか訪れないとても大事な機会だ。

その舞台にふさわしいのが海ということなのだ。

 

 

洗濯乾燥後写真

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腿や尻などが薄く落ちた。凹凸もなくなり、平置きできるくらいペッタンコに戻った。

 

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リベットやボタンの腐食を心配/期待してたけど特になし。

 

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ハニカムも上々。

 

参考:前回の経過報告

www.sfg.blue

 

結局どうなった

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海水と言えど水なので、4ヶ月穿いて伸びたジーンズはほぼ元通りに縮んだ。

糊の光沢やリジッド特有の生地感はなくなったわけだけど、デニムの表面が結構、いやかなりザラつく。ジャパンデニムにありがちな不均等に織られた立体感のある生地というよりも、まるで海水につけたあとテキトーに水洗いで済ませてそのまま乾かした服みたいだ。ちゃんとすすいだんだけどな...。

だけどこの洗濯後のバリバリ感自体は全然嫌な感じではない。乾燥前に気になったヌメリ・ベタつきも乾いた後は消えてしまった。普通の洗濯した後のジーンズと比べてちょっと固いかな、くらいだ。

糊が落ちることでもっと柔らかくなり、穿き心地もソフトになると思っていたがそんなに変わらないようだ。

 

着用期間について

ジーンズを着ている時間に関して、「着用nヶ月」「足を通して半年がたちました」といった書き方をしていたりするけど、結局重要なのはどれぐらい動いたのか、あるいは何時間穿いていたのかというところに尽きる。1年間、毎日1時間、穿いて座っていました、というのと1ヶ月、寝ている時以外は穿いて、主に自転車で移動していました、というのとでは後者のほうが色落ちが早い。

「色落ちを伝えたい」というのであれば、正確な表記を心がけたい。

半年穿き込んだA.P.C.のプチスタンダードを初洗濯!その色落ちやいかに | いわタワー

 

海で洗うべきか

海で洗ってわかったのは海で洗ってジーンズに良いことなんてあんまりないということだ。洗剤使ってお湯で洗ったほうが糊はしっかり落ちるし、洗濯機で回したほうが皮脂や油汚れはきれいに落ちる。

ただ、海で洗うと超楽しい

海でジーンズを洗ったことがある人」になることができるし、「海で洗ったジーンズ」を手に入れることができるからだ。

 

実益は全くないけど、一度海で洗ってみることをおすすめする

 

※動画も併せてどうぞ。

www.youtube.com[最終更新:2017/9月11日]

 

※ こっちは真面目な洗い方についてです

www.sfg.blue

 

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