アメリカの提唱するファッションの楽しみ方は全世界に影響を与えている。その魅力は世界経済を牛耳るような人物から未開の現地住民までを虜にする。
そのアメリカで、2008年に創業したのがTellason(テラソン)だ。
テラソンは全ての素材・パーツをアメリカ製に限定するなど、オールドリーバイスの再現に対するプラスアルファの回答を見事に見せている。デニムヘッズの要求を満たしながらも、門外漢への訴求性と次世代へのステップがきっちり盛り込まれており、圧倒的な完成度を誇る。
リーバイスの提案するスタイルを踏襲しつつも、現代的なジーンズを生み出すことに成功しているということだ。
The Story And Philosophy of Tellason
TELLASON John Graham Merror(スリムストレート) 14.75oz
スリムストレートだが多少ゆとりがあるシルエット。
色落ちに定評のあるコーンデニム社(旧コーンミルズ)製の生地、ホワイトオークを採用。当然ながらアメリカ製。現リーバイスでも使用されている高品質デニム。
ボタンやリベットなどは濃い銅色。同じ材質のように見えるが実は違う。リベットは銅っぽい。ボタンはアルミ。刻印などはされておらずつるりとしているが、少しずつ剥げて凹凸感が出ることにより渋みが表れる。
テラソンはシルエット別で名前がある。スリムストレートの名前はジョン・グラハム・メラー。これが12.5oz、13.5oz、14.75oz、16.5ozと4種類展開されている。これは14.75oz。
バックポケットはキャンパスで下部が補強され、Tステッチが施される。結局何がカッコイイってこういうのだよね。機能に基づいたデザインこそが最も美しい。
リーバイスを想起させる赤タブを配置するとまあまあ訴訟される(日本企業もいくつか...)ので裏側の見えないところに「LeGAL」。これなら合法だ。
アメリカ人の「わかってる」感
リーバイスに代表されるように、機能に基づくやや大仰なデザインはアメリカの得意分野だ。ワークウェア由来のものだけで見てもリベットや品質表示ラベル・タグ、大量生産のために配置されたステッチ...。どれも理にかなっていて、やや大仰で、ワクワクする。
例えば、ディーゼルやジースターなどのブランドでもそういったアメリカンデザインの踏襲が見られる。それらの目的はあくまで「カッコイイ」ことだ。そしてそれは大方見事に成功し、カッコイイ製品を次々とリリースしている。
だがそれは不必要な要素を増やしているだけともとれる。「おもしろい」製品と「美しい」製品はまた違うのではないか...と俺は今思っている。
要素過多の製品にはどうしても首をひねってしまうのだ。「セルビッジをそんなところに配置する必要ある?気持ちはわかるけれど!」みたいな。
ジーンズの色落ちとシルエットは軽視されるのか
ジーンズにおけるデザインのプライオリティは色落ちとシルエットにある。テラソンはその順序をきちんと踏襲した上でバランスをとりながら、遊び心を随所に散りばめている。色落ちに定評のあるコーンデニムの生地も、やや現代的なスリムストレートも、計算済みなのだ。だから、購入から破損までその時その時によってイイ感じでいるんだろうなと予想がつく。
次世代のジーンズ、次世代のデニムブランド
日本発の主要なデニムブランドはオールドリーバイスの精密な模倣と品質の高さから、今では世界で広く愛されている。
だが、そこから独自の視点で一歩飛び出した、桃太郎やサムライやアイアンハートなども、同じように愛用者が多く観測できるのだ。
これは単純に過剰な色落ちブームで極端なヘヴィオンスジーンズが求められているだけかもしれない。しかしやはり、ポップなアイコンやワクワクするディティールはいつの世代も新しく求められているのだ。
古臭いけど新しい。とぼけているけどスタイリッシュ。
テラソンはそういう意味で完全に次世代のジーンズなのだ。
Tellason | Raw Selvedge Denim Jeans and Raw Denim
[最終更新:2017/10月9日]