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Tシャツの着心地とは何のことなのか

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着心地がいいとはよく言われることだが、この着心地とは一体どういうものなのか。

というか、「いい」というのが主観的なものである以上、各人にとって理想とする「いい」があり、「着心地がいいTシャツナンバーワンはこれです」とは簡単には言えないのではないか。

イマイチ判然としない着心地について今一度きちんと考えてみよう。

 

手持ちのTシャツ4枚

今持っているTシャツから、系統別に4枚を比較する。

この4つのTシャツは、今現在市販されているTシャツの4つの大まかな特徴を大体捉えているからだ。

 

 

Goodwear / 7.2oz Pocket tee

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セレクトショップで別注が売られていたりして、無地でも存在感のあるシャツとして地位を確立したGoodwear。しかし公式サイトはこんな感じで、とてもファッショナブルとはいえない。

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 これはただのスクショでリンクは下の方にあるぞ

 

これは本国でのGoodwearの扱いがあくまでデイリーウェア、気取らない普段着だからだ。そもそも多くのアメリカ人にとって、オシャレとはスーツを着たりドレスを着たりバカンスに行ったりパーティに行ったりすることなのだ。普段は、本当に逮捕されなきゃなんでもいいのではという感じで、他国のようにブランドで身を固めたりとかセレクトショップでシルエットを気にして買ったりということはしない。基本的に本人の好きなものを、突き詰めて言えば帰属しているクラスタを表明するもの、バンドや、スポーツチーム、アウトドアブランド、スポーツブランド、通っている学校、している仕事、あるいは地元のブランドのものを、着るくらいだ。そうでなければGAPかAEで適当に選ぶくらいだ。ウォルマートに乗り付けて、向こう一週間の食事のついでに普通なシャツも買って帰る、アメリカ庶民のカジュアル事情はそんな感じだ。

 

その観点からみると日本のセレショにGoodwearやヘインズが置かれているのはなんとも不思議な気分になる。俺の個人的な感覚ではそういうアメリカ発のデイリーシャツはホームセンターやディスカウントストアにこそ置かれていて欲しい。ルーツは雑な大量消費にあり、ありがたがるものでは決して無いからだ。「これじゃないと駄目ってことはないけど、不満はないからいつもこれ」みたいな。

 

さておき...固くて分厚く、見るからに丈夫そうな生地でできているGoodwearのシャツは、新品よりも着古したほうが”アジ”が出る、ド直球のアメカジアイテムだ。もちろんこういう「着古していく」アイテムはアメリカの専売特許ではない。日本だって胴着や着流しなんかは分厚い丈夫な生地でできており、ユーズドっぽい方が粋であったりする。昔っからそんなもんだ。

ちょっとボロい方がいい、しかしみすぼらしいのは嫌。そういう人のためのものなのだ。 

 

固くて厚い

メリット:丈夫。着てボロくなっていく過程を長く楽しめる。

デメリット:肌擦れが気になる人にとっては最悪。

 

American Made Clothing | Goodwear USA

 

Phatee / Hemp mix tee

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ヘンプミックス独特の質感がある生地で、今流行しているシャツに通ずるものがある。

つまり、綿以外の素材が混ぜられていたりして、伸縮性があまりない硬い生地ということだ。シャリ感などと表現されたりする。ワイシャツのような目の細かい織り物っぽく見えたり、実際織られていたりするので、上品に見える

こういう生地は涼しくていい。肌に張り付きにくいので風が通るし、吸水乾燥も速い。

しかし新品の風情を失うと、たちまちみすぼらしくなる。ほつれたり、生地の張りがなくなったりするとただボロくなるのだ。Goodwearのようにフォルムを保ったまま古臭くなってはくれない。このファッティーも、裾やリブが残念な感じになりつつあるのを乾燥機でごまかしながら着ている。

 

特にファストファッションなどで展開されるこの類のシャツは生地が薄く、すぐみすぼらしくなる。別に気にしないなら着れるけど。それでもトレンドにとにかく乗りたい人にとってはないと困るジャンルなのかな。

 

固くて薄い

メリット:涼しげだし実際涼しい。上品に見える。

デメリット:物によるけどだいたい脆いし順当にボロくなる。

 

Phatee | Phatee Wear(ファッティー)公式サイト


Bogen / Pisten tee

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ボーゲンの生地は厚くてやわらかい。それでいてシルエットが太目にとられているのできれいにドレープ(布がたるむ)する。なんだかんだで一番値が張るのはこのタイプ。

こういう柔らかいシャツは汗をかくとしっとり肌に張り付いて余計に暑くなってしまう。柔らかいのが裏目に出てしまうのだ。空調の効いた空間での着用が前提となっているところも、オシャレさん御用達なアイテムといった感じ。

特に都会なんかではこういうシャツが一番映えるのかな。 

 

 柔らかくて厚い

メリット:優しく包まれているような感触。ドレープがきれい。高級感があるし実際高い。

デメリット:ベタベタ張り付いて暑い。

 

BOGEN

 

 

Peak Performance

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ピークパフォーマンスは本来アウトドアブランドで、基本的に機能性ウェアしか出していないと思ってた。これは、普通のアパレルあるんだ〜という驚きでとりあえず買ったものだ。

とにかく薄く、柔らかいので着ていて引っかかりはほぼない。生地が伸びて体の動きについてくる感じだ。だからよほど大きなサイズできない限り、体型を拾ってその通りのシルエットで伸び縮みする。胸筋をいつも以上に誇示できる人もいれば不必要にお腹が出てしまう人もいるだろう。たるんだボディを隠すのには適しない。

こちらは質が良い悪いに限らず洗濯を繰り返せばシルエットはすぐ崩れていく。加えて、安物はやたら毛羽立つイメージ。やっぱり薄いと弱いのだ。

 

柔らかくて薄い

メリット:涼しくて着ていてストレスや引っ掛かりがない。体型が出やすい。

デメリット:見るからに脆そうなので着ていて不安になる。体型が出やすい。

 

Peak Performance|ピークパフォーマンス 日本オフィシャルサイト

 

比較

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4つのシャツの生地を比較する。

左から右に、

Peak Performance、Goodwear、BOGEN、Phatee の順だ。

 

ファッティーはスゴクわかりやすく目が粗いように見えるだろう。実は編み方が違う

編み方については俺も今は理解できていないところもあるし、それだけで説明に長い時間を取るので今回は割愛する。重要なのは他の3つとは違う、という点だ。

このように、編み方を変えたり、織っていたりするシャツは光沢感や生地感が全然違って新鮮に見える。なので次々新しいものを作りたいトレンドは毎回手法を変えて次はコレ、次はアレと様々な提案を消費者に問いかける。それはそれで色んな生地を楽しめるからいいんだけどね。

 

ボーゲンとグッドウェアは同じような目の大きさだ。しかし生地の硬さや手触りがぜんぜん違う。

 

ピークパフォーマンスは目が細かい。そしてこの柔らかさなので糸の撚りも緩い。結果、よく伸びる生地になる。

 

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だいたいこのような図のとおりに分類される。

一般的に着心地がいいとされるのは柔らかい生地。特に着心地がいいことを売りにしているものは左下、薄くて柔らかいものだ。

一方固い生地は肌に引っかかりがあるとかゴワゴワするなどという理由で着心地の面では敬遠されがちだろう。しかし「着ている感」があるのは固くて厚いものだ。

 

この「着ている感」というのは日頃から異様なオンスのメチャ固いジーンズを好き好んで穿いている人にとって馴染みがあるのではないか。

ヤワな生地の服なんか着てられっか」という見得切り、みんなしてるよね?

そういう方面の着心地だってあるのだから、柔らかいシャツを簡単に礼賛する風潮はどうかと思うのだ。

この夏は固くて着心地の悪いシャツを着て見得を切ってみてはいかがだろうか。