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なぜジーンズを穿くのか3

cte26533.hatenablog.com


 

1990〜2017

リーバイス・レプリカブームの渦中、90年代に確立された赤耳根性履きという文化はその意味を失い宙ぶらりんのまま2000年代に持ち越される。

多くの人々は「めくって赤耳だとカッコイイから」「なんか洗わない方がいいって雑誌に書いてあったから」「値段が高くてセレブが穿いているから」などといった曖昧な理由で、エビスをはじめとする高級日本製ジーンズを買い求め、洗いこそしないものの色落ちする前に飽きてほっぽりだしてしまうということを繰り返していた。(完全に憶測)

(90年代、00年台のシーンを知っている方、ご教授よろしくお願いします。メールかツイッターまでよろしくお願いします)

 

そして2010年、リゾルトを立ち上げたデザイナー林氏の「たかがジーパンや」というキラーフレーズは人々にジーンズを洗濯してもよいという赦しをもたらし、形骸化されたミームとしてジーンズ愛好家に広まっていった。

時を同じくしてユニクロやイオンなどの量販店では1000円以下のジーンズが売りに出される。この余波を受けて、きれいなシルエットでそこそこの品質のジーンズがその辺の量販店で安く手に入るようになる。

これにより、ジーンズの差異をブランドタグやバックポケットでしか判別できない一般的な感性の大多数の人は安くてオシャレなジーンズにどんどん流れていく。

 

現在。

ジーンズなんてその辺で安く手に入るからこそ、他人と違うものがほしいというファッション界のアーリーアダプターはいち早くセルビッジジーンズに目をつけ、「永遠のスタンダード」「こだわりの日本製」などとふれ回ったおかげで、様々なブランドやショップでセルビッジジーンズが売られるようになった。

しかしながらその消費者はというと「なんかセルビッジだと古い機械使ってるからいい生地なんでしょ」「やっぱビンテージ風のチェーンステッチが風格あるよね」「オールドリーバイスが元になってるから調子いいわ〜」など、情報量は増えたけど上っ面を消費しているだけという本質は00年台の空洞化したジーンズシーンとなんら変わっていないのだ。

 

だから今大量に出荷されている高級ジーンズはそのうち飽きたオシャレさんの手から離れ中古市場に溢れると俺は予想している。2,3回洗濯されたジーンズだって色落ちのポテンシャルは十分にある。古着屋に行って高品質ジーンズを安くゲットだ!

 

 そんな彼らはフェイディングに飽きた後に熱心なフェイズの不潔なジーンズを見てこう言うのだ。

「加工されたジーンズ買えばよくね?」

 

 

 加工ジーンズでは駄目な理由

加工ジーンズは素晴らしい。職人技によってまるで何年も穿き込んだかのような雰囲気を大量にコピーすることができる。

 

あなたも一回安いジーンズでも買ってきて、ブリーチなり紙ヤスリなりブラシなり使ってみて自分で加工ジーンズを作ってみるといい。自然に仕上げるということがいかに難しく、いかに時間がかかるか分かるから。

俺は一度セルフフェイドやセルフダメージ、脇割りを膝までほどいてテーパード加工...など散々遊んだことがある。もちろん安いジーンズで。

では愛情込めて遊んだそのジーンズがどうなったかというと、今はバラバラに切られて家具の下敷きになっている。素人がセンスの問われることをするためには何回も失敗する必要があるのだ。

そうした素人とは違い、職人が施す色落ちには価値がある。色落ち加工、ダメージ加工は高くて当然だ。

 

じゃあなぜそうした職人技の光る加工物を避け、わざわざジーンズを洗わずに穿いているのかというと、加工されたものと実際に穿いてできた色落ちには決定的な違いがあるからだ。

それは人が穿いたというアウラだ。

 

d.hatena.ne.jp

 

多分、色落ち職人に「金に糸目はつけないから人が穿いたジーンズと全く同じ風に色落ちをコピーしてくれ」と頼めば複製は可能だろう。(完全に憶測)

(色落ち職人の方、ご教授よろしくお願いします。メールかツイッターまでよろしくお願いします)

 

しかしそこには「自然」にできた色落ちのアウラは消失してしまう。

 

だからこそ尾道デニムプロジェクトのジーンズは高値で売れる。あれはカッコイイ色落ちとかリアルワーク感を含めてそのアウラが値段に反映されているのだ。

www.onomichidenim.com

 

 

ジーンズは、大量生産だけど決して同じ色落ちはしないという不確実性と、ワークウェア由来でありながら時には高級感を出して老若男女に広く愛用されているという矛盾を抱えた衣類だ。

同じジーンズのはずなのに個々は全く違う色落ちをしているというところにこそジーンズの本質があり、それぞれに宿るアウラこそ魅力であると、俺はそう考える。

 

 

 

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