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【ノー・エスケープ 自由への国境】それでもアメリカはイケている

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ゼロ・グラビティ」で父アルフォンソ・キュアロンと共同脚本を手掛けた息子ホナス・キュアロンがメガホンをとり、アメリカへの不法入国を試みるメキシコ移民たちが謎の襲撃者に狙われ極限状態に追い込まれる姿を描いたサバイバルスリラー。

 

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いわゆるマンハント物の追いかけっこ映画。

 

しかし俺が特に気になったのはジェフリーDモーガン演じるアメリカ人襲撃者のサムだ。

 

劇中で内面が描写されるのが

・警察官をに対して聞こえないように悪態をつく

・「昔はここが好きだったのにのに今は嫌いだ」というセリフ

くらいなもんだから「なにを考えているかわからないサイコハンター」感を醸し出している。しかしこのサムは本当にサイコな快楽殺人犯だったのだろうか。

 

サムは何を考えていたのか

・警察官に対して悪態をつく

あくまで警察官とはフランクに話をしていたが、警察官はサムの人間狩りを認知しているだろうし、サムも認知されているとわかっている(警察も悪態をついている)。しかし広大な砂漠では現場を押さえられないから結局狩り放題。お互いが嫌い合っているけど、あくまで表には出さないというスタンス。問題が表面化してもお互いにメリットがないからだ。

 

・昔はここが好きだった発言

「ここ」とはどこか。砂漠とも地元ともアメリカともとれる。

昔は希望があったけど今はダメだという内容。

 

サムは不法入国してくるメキシコ人への襲撃を「警察は無能だから自分がやるしかない」というふうに思っているだろう。

不法入国メキシコ人が白人の仕事を奪っていくから給与が減ったりクビになったりする。警察がきちんと国境を取り締まらなければならないのに業務を怠っているからメキシコ人はどんどん入国してくる。誰かが国境を守らなければならない。なら自分がやろう。」と。

 

彼は血に飢えたサイコ殺人者ではない。職を奪われ拠り所もない(と思っている)サムは過剰なナショナリズムに走り、人間狩りをするのだ。彼を突き動かすのは自国を守るぞという彼なりの正義なのだ。

 

 なぜメキシコ人はアメリカに行きたいか

では、そのようなメキシコ人排斥の動きが出てきているくらい、仕事や経済に余裕がないアメリカへ、当のメキシコ人はなぜわざわざリスクを犯して不法入国しようというのだろう。

端的にいうとイケてるからである。

 

不法入国メキシコ人たちは皆一様に薄いジーンズ、良くわからないシャツ、体育用っぽいスニーカー、出自不明のデイパックを持っており、ショッピングセンターの自社ブランド感がある。つまり薄っぺらく安っぽい

経済的な事情からか、物資が届かないからかは分からないが、メキシコ人は体型もアイテムもとにかくダサいのだ。

 

一方、サムの容姿、持ち物は以下の通り。

ピックアップトラック(オフロード仕様)

・ 犬

・ライフル

・キャンプ用具一式

・タバコ

・テンガロンハット

・シャツジャケット+タンクトップ

・タフなアーミーパンツ

・ビブラムのコンバットブーツ

 

アメリカ南部にピッタリの佇まいだ。アメリカ人は多少経済的に難があってもいいモノを持てるのだ

「色々持ってる強者が何も持たない弱者をいたぶる」という構図がファッションからも際立ってくる。

 

豊かさとは

メキシコ人がアメリカへ入国に強烈な憧れを抱くのは(劇中では治安の面も言及されているが)イケてるものが溢れているからということになるだろう。

経済的な事情はさておき、イケてる物をよく知っていてそういう物に囲まれているというのは豊かさの基準であり羨望の対象となる最低条件ではないかとそう思う。

 

というと、なんだか物質主義的で、「こころが豊かじゃなきゃあ意味がないんだよ。」みたいなポエムが飛んできそうで嫌な感じだが...

 

総評

映画はずっとスリルがあって面白かったです。よかったね。