無塩せきガソリン

SALT-FREE GASOLINE

MENU

ジーンズ色落ちに正解があるとしたら

ジーンズはそもそもなんのために作られたかというと、1890年代に炭鉱などのような過酷な状況でも簡単に破損しないような丈夫な作業着が必要なアメリカ人労働者のためである。リーバイスが501を世にリリースして以降、ファッションに多大な影響を与えながらも、ジーンズは相変わらず優秀な作業着である。

ということを考えるとジーンズの色落ちの正解はアメリカ人労働者のそれなのではないか。

 

一日汗だくになりながらさんざん履き倒したジーンズを強力洗濯機に入れ、強力乾燥機で乾かし、次の日も同じジーンズを履く。こうして出来上がる味のある色落ちこそ正解だとするなら、リゾルトやオアスロウが推奨するようなこまめに洗濯するというのが正解なのかもしれないと思う。

特にオアスロウの提唱する10日に一度の洗濯というのはアメリカ労働者の一日の運動量は日本のデスクワークの運動量の10倍程度だからなのか…という仮説である。

 

 

www.sfg.blue

 

労働と作業着

炭鉱での丈夫な作業着としてのジーンズを考えると、泥や砂、汗、皮脂、機械油...が汚れとして考えられる。推測でしかないけどこんな状況だったら毎日洗濯してたでしょ。泥だらけのジーンズもう一回穿く気にならんでしょ。いや、昔はそういうの気にしなかったのかな?いやいや、カウボーイとかがシュリンクトゥフィットのジーンズを川で洗って穿いたまま乾かすと自分の体型に沿って縮んでジャストフィットになるとかやってたらしいし、となると水洗いはなされていただろう。

 

一方で強く引っ張ったりこすりつけたり引き裂かれたりという直接的なダメージもあっただろう。これに屈伸運動などが加わり、ジーンズの擦れとなり、色落ちの大きな要因となる。これらの外的要因によってアタリの色落ちがきまる。

 

洗濯機と乾燥機が普及するのはジーンズよりも遅かった。面倒な手順を機械任せにすると、デニムの色落ちの風合いが変わるというところまで気づくのには時間がかかるところとなった。

 

乾燥機に対する意識の違い

アメリカは文化として服はあまり干さない。洗濯は、洗濯槽での洗い→脱水→乾燥機での乾燥までの一連の流れを指す。この流れに組み込めれたジーンズは通常よりも早く色落ちしていくことになる。乾燥機の行程で表面を擦られ続けることによってインディゴはどんどん落ちる。生地も大きく収縮し、パッカリングやうねりがいっそう出る。こうした変化こそがアメリカ由来の正しい色落ちであるとも言える。

 

このように、アメリカにおいては落としてナンボだったインディゴを、少しでもキープしようと日本人がアレコレ工夫をすることにもはや何の違和感もない。やりそ〜。洗濯を控えるとか、裏返して水だけで洗うとか、そういう細かいテクニックを発見し、少しでもジーンズを新品の常態のまま、インディゴをたくさん残したまま穿きたいというようなドケチ的なアプローチでジーンズに接するうちに、ウィスカーとハニカムがバキバキに色落ちすることになり、そういう色落ちのヘッズが現れることになるのだろう。

そうした根性履きのスタイルは海外に逆輸入され、Heddelsのような海外フォーラムで話題の中心となる。

しかし当の日本ではバキバキ過ぎるのは、より過剰に、より強調した加工ジーンズが売られたりすることで「むしろダサくね?」という意識が普及してしまったりもしている。結局、このイタチごっこなんだろうなあ。

 

ジーンズ色落ちの正解

ことジーンズに関して「育てる」とか「経年変化」とかのワードが使われがちだが、俺はピンとこない。「色落ち」なら分かる。染料が抜け、すすけてボロくなるのは成長でもなんでもない。油なんかも補給しないし、磨いてやる必要もない。

ジーンズは持ち主が長い時間着用するほど、他の人にとっては似合わないアイテムへと変化していく。色落ちや生地の収縮なんかがその人に合わせたオンリーワンのものになっていくからだ。

だから、その人が長い間穿いて、他の人からしたらボロいジーンズになった時に、色落ちは正解になるんじゃないかと思うのだ。