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ジーンズの色落ちの方向性

ジーンズを買うのはいいが色落ちとして結果に現れるのなんて一年とかもっと後だし、その頃には「絶対洗わないぞ、リジッドのまま行けるとこまで行くんじゃい」という当初の理想はどこへやらでちょっと気になったらすぐ洗濯、下手したらクライミングパンツなんか履いて「やっぱパンツはイージーなものに限るよね」なんてのはよくある話である。

 

そのうちに「でもバキバキのジーンズは加工っぽくてやっぱダサいわ。そもそものオールドリーバイスの色落ちがいわゆるノッペリだし。そう考えると現在の技術で作られたデニム生地は適度に洗濯してナンボだよね」などと、過洗濯・ディティール主義に走るのも時間の問題だ。

 

色落ちの方向性を極端に分ければ、無洗濯主義か過洗濯主義の二つに別れる。当然この中にもグラデーションがあって、リジッドから穿いて洗濯は一切しないという人もいれば、最低半年に一回は洗わないと生地が傷むからダメだという人もいるし、一週間に一回だけ水洗いする人もいれば、穿くたびにアルカリ洗剤で洗濯機を回すという人もいる。人の好みも、その好みの色落ちへのアプローチも、多様なのだ。

 

無洗濯(バキバキ)の方向性

当然ダメージと洗濯はトレードオフであるし、色落ちし始めた頃の微妙な時期をどう過ごすか問題やこのジーンズ◯ヶ月洗ってないのよ〜と言った途端に自分で異臭が気になりだす問題など社会的な側面もあるため一回も洗わないのが正しいのかというとそうではないと俺は思う。さらにはユニフォーム着用を義務化するのが大好きな日本企業において仕事中にジーンズを履けることは稀であり、リジッド感が残る黒いジーンズをただ見ながら一方日々テカテカになっていくスラックスに嫌々足を通さなければならないことを考えるとジーンズを新調するのには慎重になってしまうのである。大学生の頃にジーンズの色落ちを楽しむ文化があるということに気づけたらどれだけ良かっただろう。

 

しかし人間は無い物ねだりの愚かな生き物で隣の芝が青く見えたらどれ俺も一丁やってみるかという気持ちになってしまう。「生きる」ということは何だ?−「欲するものを手に入れること」これは確かジョジョのセリフ。ディオが言ったと記憶している。ジーンズに関してはその欲するものになるかどうかも買う時点では未知数であることを考えると非常に難儀な物だね。それでも仕上がってきた頃の「当初予定していた色落ちの感じではないけど…」というある種あきらめのような感情すら共に年数を経てきたことによる愛着でうやむやにできるのだからいかにもワビサビメイドインジャパンといった感じだ。厳密にはジーンズ色落ち行為なんか仏教的にはクソ間違いなわけだが。

 

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ウィスカーとハニカムがビッチリキマっているジーンズなんか使っている本人かそういう文化を共有している人以外にとってはボロ布でしかない。基本的に濃紺のジーンズで適度なテーパードがかかったシルエットで着やすいものが本人にとっても見ている人にとっても易しいものだ。かっこよさを求めるあまりに露骨になりすぎるとうっとおしい。オシャレを目指して突っ走っると「オシャレ?してないけど?小奇麗にはしておきたいから金はかけてるね。でも特別なことなんかしてないよ」そういう距離感が好ましい。自分が好きなものを好きだということで利益や評価を得るためには細心の注意が必要だと言うことだ。しかし、なんだかんだ言ってもそういう”やりすぎ”には惹かれるものがある。

 

過洗濯(のっぺり)の方向性

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『RESOLUTE(リゾルト) FAIR』は明日(2/7)まで!! – ZABOU BLOG

 

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洗濯を繰り返せば当然インディゴは剥がれ落ち、全体的に白くなっていく。アタリだけでなく生地そのものの青さを薄くしたようなデニムはわざわざ色落ち加工を施すことでも得ることができる。しかし、自分で穿いていないとその過程を観察することはできない。洗濯、場合によっては乾燥機の回数を増やせば、生地の収縮がアタリとして反映される。縫製ライン、セルビッジに沿った凹凸、ボタンや重なった生地の浮き上がり、チェーンステッチのうねりなどは収縮の大きいセルビッジデニム特有の現象でもある。あと、清潔。

 

過洗濯、としたが、常識的に考えると一回あるいは一日着たものを洗濯するというのは至って普通の感覚だ。セーターとかジャケットとかコートとかは毎回ではないか。となるとジーンズはその類の衣類だ。しかしそれらと決定的に異なるのは手入れをサボってテキトーに扱っても良さが失われていくことがないところか。もちろん汚さないように慎重になるのも、ドライクリーニングで色落ちを防ぐのも、正しいジーンズの扱い方だ。しかし、テキトーに洗濯したり何かの拍子に汚れてしまったりしてもそれはそれでジーンズそのものの魅力が減っていくわけではないのが不思議なところ。革製品のように日々のブラッシングと定期的なオイルが必要なわけでも、高級ウールのようにぞんざいに扱ったら縮んでだめになるというわけでもない。

 

方向性は、あってないようなものだ。別に決めたから強制されるわけでもない。テキトーでいいのだ。